香典は、もともと霊前に供える香に代えて、現金を包むものです。金額は故人との付き合いの度合いや、故人の社会的立場などによって多少違ってきます。親しい付き合いでなければ、気持だけの金額を包むようにしてもかまいません。自分の立場や故人、遺族との関係を考えて、先方にあまり恐縮されない程度の額にします。場合によってはお焼香だけさせていただくこともあります。
供え物には、花輪、生花、造花、線香、抹香、蝋燭、菓子、果物などが一般的です。故人が好きだったものを供えてもいいでしょう。ただキリスト教式では菓子、果物などは供えませんので生花にします。供花や供物を贈る場合は、葬儀社を通じて手配するのが一般的です。喪家側の飾りつけの都合もあるので、事前に連絡しておくのがよいでしょう。また宗旨によって供え物のきまりがあるような場合もありますので注意が必要です。
供物や供花には、白黒の水引やリボンをかけ、名刺か小さな名札を添えます。なお、花輪は会社や団体、あるいは公的立場の人から贈られるのがふつうですから、個人的に贈る場合は供花にすることが多いです。
最初に弔問した時にだすのが原則です。通夜に持参できない場合は、葬儀・告別式に持参します。通夜の場合、受付がなければ拝礼の時に霊前に供えるか、遺族に手渡すようにします。臨終直後に駆け付けた席で香典をだすのは、取り込みの最中において紛失することもあるので、止めましょう。 やむを得ず通夜や告別式に出席できない場合は、香典を現金書留で郵送してもかまいません。
香典の表書きは故人の宗旨に合わせて書きます。仏式では「御香典」「御香料」「御霊前」「御供料」、神式では「御玉串料」「御榊料」、キリスト教では「御花料」「御ミサ料」などですが、宗旨が分からない場合は「御霊前」とします。
表書きの下段中央に自分の姓名を書きます。差出人が連名なら3名までの名前を書き、それ以上なら「○○課有志」「○○会一同」などとし、全員の氏名を書いた紙を金包みの中に入れておきます。香典袋は、香典の金額相当のものを選ぶようにしましょう。
表には何も書かず、裏側に金額、郵便番号、住所、氏名を書きます。遺族や関係者が香典の整理をする時に必要なので必ず書くようにしましょう。 金額の字体は旧字体にするのが正式ですが、略式(○千円など)でも問題ありません。
通夜・葬儀・告別式を通して、会葬者は仏前で焼香しなければなりません。焼香には座礼と立礼がありますが、基本的には同じ作法です。仏前に線香をあげる場合、線香を右手で1本(2本でもかまいません)とり、ろうそくで火をつけます。炎は左手であおいで消すか、すっと引いて消します。それから香炉に立てるか、横に置くようにします。これは宗派によって異なります。
焼香・線香立てについては、下記のように宗派によって違いはありますが、あまりこだわる必要はなく、心をこめて1回するのもよいでしょう。
天台宗
とくに決まりはない。
真言宗
通常、焼香3回、線香も3本立てる。仏・法・僧の三宝に供養すること、身・口・意の三密修行に精進するため、3回といわれている。
浄土宗
とくに決まりはない
浄土真宗
真宗大谷派では焼香は2回、浄土真宗本願寺派では1回、線香は立てないで折って寝かせる。また真宗では、焼香に際して香を額におし戴かない。
臨済宗・曹洞宗
回数にこだわらない。
日蓮宗
僧侶は3回、一般の人は1回。
盆にのった抹香と香炉がまわってきて、自分の席で焼香します。盆がまわってきたら両手で受け取り、自分の正面において焼香します。終えたら次の人に「お先に」と軽く会釈しましょう。
カトリックでもプロテスタントでも、葬儀・別れの儀式では祭壇に花をささげる献花が多くなっています。
順番がきたら祭壇に向かって一礼し、係の人から花が右側に来るように両手で受け取ります。祭壇前で一礼し、根元が祭壇に向くようにして、献花台におきます。
無宗教の葬儀でも献花が行われることが増えておりますが、同様なやり方でおきます。